コラム
Column
フッ素塗布でむし歯を予防|子どもの歯を守る3つの働き

「子どもの歯をむし歯から守るために、できるだけ効果的な予防法を取り入れてあげたい」 鳥越 理一 院長
お子さんの歯を大切に思う保護者の方にとって、どのような方法にどのくらいの効果があるのかは、気になるのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、小児歯科で行う「フッ素(フッ化物)塗布」です。
「フッ素塗布」には、子どもの歯をむし歯から守る3つの働きがあります。
今回は、その3つの働きを中心に、フッ素塗布を受ける時期や頻度、家庭でのフッ化物配合歯磨剤の使い方について解説します。

長崎大学歯学部卒業
長崎大学顎口腔再生外科にて研修
日本顎咬合学会 認定医
日本臨床歯周病学会
顕微鏡歯科学会
医院名:リーチ歯科 伊都の杜クリニック
所在地: 〒819-1112
福岡県糸島市浦志1丁目10-8
フッ素塗布がむし歯を防ぐ3つの働きとは?

フッ素塗布で使用するフッ化物は、歯質を強くするとともに、むし歯菌の活動抑制にも作用します。
むし歯予防につながるおもな働きは、次の3つです。
1.歯質を強くして酸に溶けにくくする
食べものに含まれる糖をむし歯菌が分解すると、歯垢の中で酸が生まれ、その酸にさらされた歯は表面から少しずつ溶けていきます。
フッ化物が取り込まれたエナメル質は酸への抵抗力が高まり、歯質への影響を抑えやすくなるのです。
特に、生えたばかりの乳歯や永久歯は歯質がまだ成熟していないため、フッ化物を取り入れることがむし歯予防に大きく役立ちます。
2.歯から溶け出したミネラルが戻るのを助ける

飲食後はお口の中が酸性に傾き、歯をつくるカルシウムやリンが表面から失われることがあります。
これが「脱灰」と呼ばれる現象です。
反対に、唾液の働きでミネラルが歯へ戻る現象は「再石灰化」と呼ばれ、フッ化物がその働きを助けることで、穴があく前の初期段階ではむし歯の進行を抑えられる可能性があります。
ただし、すでに穴が開いたむし歯をフッ素塗布だけで治すことはできません。
定期検診で歯の状態を確認し、むし歯の段階に合った処置を受けることが大切です。
3.むし歯菌の働きを抑えて酸をつくられにくくする
フッ化物は歯質だけでなく、歯垢の中にいるむし歯菌にも働きかけます。
むし歯菌の活動を抑えることで、糖から酸がつくられにくい状態になります。
むし歯の原因となる酸の量が少なくなれば、歯からミネラルが溶け出す脱灰も起こりにくくなるのです。
このように、フッ素塗布は「歯質を強くする」「再石灰化を助ける」「むし歯菌の働きを抑える」という3つの面から歯を守ります。
子どもの歯にフッ素塗布が大切な理由

乳歯や生えたばかりの永久歯は、大人の永久歯と比べてむし歯の影響を受けやすい状態です。
子どもの時期からフッ素塗布を取り入れるべき理由を、子どもの歯の特徴から見てみましょう。
乳歯は、エナメル質や象牙質が薄いから
乳歯のエナメル質と象牙質は永久歯より薄く、むし歯ができると歯の内側まで短期間で達する場合があります。
いずれ抜ける歯ではありますが、食べものを噛むことや発音を支え、後から生える永久歯の場所を確保する役目もあるため、すこやかな状態を保つことが大切です。
乳歯をすこやかな状態に保つことは、その後に生えてくる永久歯や歯並びを守ることにもつながります。
生えたばかりの永久歯は、歯質がまだ成熟していないから
永久歯は、生えた時点で歯質が完成しているわけではなく、唾液からミネラルを取り込みながら時間をかけてかたくなるため、生えた直後は酸の影響を受けやすい状態です。
高さの低い生えかけの歯には歯ブラシが当たりにくく、奥歯の深い溝にも歯垢が残りやすいため、丁寧に磨く必要があります。
乳歯から永久歯へ生えかわる時期は、お口の中を確認しながらフッ素塗布を続けることが大切です。
フッ素塗布の効果を得るための3つのポイント
歯科医院では、ご家庭で使用する歯磨剤よりも濃度の高いフッ化物を歯の表面に塗布します。
一度の塗布で効果が長期間続くわけではないため、定期的な受診が必要です。
1.フッ素塗布を年2回以上継続する
フッ素塗布によるむし歯予防効果を得るには、繰り返し受けることが大切です。
フッ素塗布を年2回以上継続して行うことで、乳歯のむし歯を半分に減らせたというデータもあります。
参照:厚生労働省|生活習慣病などの情報「フッ化物歯面塗布」 >
ただし、フッ素塗布の効果には、歯磨きの状態や食生活、これまでのむし歯の有無などによって差があります。
当院では3ヶ月に1回程度のフッ素塗布をおすすめしていますが、適した頻度はお子さんのお口の状態によって異なります。
定期検診でむし歯や歯の生え方を確認し、お子さんに合った間隔で受けるようにしましょう。
2.乳歯が生え始めたらフッ素塗布を受ける
フッ素塗布は、乳歯が生え始めたころから受けられます。
歯の本数が少ない時期から小児歯科へ通うことで、むし歯の有無だけでなく、歯の生え方や仕上げ磨きの方法も確認できます。
また、むし歯などの痛みがない時期から通院を始めると、お子さんがお口を開けることや診療台に座ることにも少しずつ慣れていくことができるのでおすすめです。
無理に処置を進めるのではなく、お子さんお一人お一人の様子に合わせて、できることから始めることが大切です。
3.塗布後30分間は飲食やうがいを控える
フッ素塗布を受けた後は、フッ化物を歯の表面にとどめるため、次の点に気を付けましょう。
・塗布後30分間は飲食やうがいを控える
・お口の中に手を入れない
・タオルやガーゼで歯の表面をこすらない
家庭で続けたいフッ化物配合歯磨剤の使い方

歯科医院で受けるフッ素塗布とともに大切なのが、家庭でのフッ化物配合歯磨剤の使用です。
歯が生えたらフッ化物配合歯磨剤を使い始める
フッ化物配合歯磨剤は、乳歯が生え始めた時期から使用できます。
小さなお子さんは、歯磨剤を自分で適量出すことが難しいため、保護者の方が歯ブラシにつけてください。
歯磨剤を多量に飲み込まないよう、子どもの手が届かない場所に保管することも大切です。
子どもの年齢に合った濃度と使用量を選ぶ
フッ化物配合歯磨剤は、子どもの年齢に合った濃度と量で使用します。
推奨されている濃度と使用量の目安は、次のとおりです。
・歯が生えてから2歳までは、900~1000ppmFの歯磨剤を米粒程度使用する
・3~5歳は、900~1000ppmFの歯磨剤をグリーンピース程度使用する
・6歳以降は、1400~1500ppmFの歯磨剤を歯ブラシ全体に使用する
同じ子ども向けの歯磨剤でも、含まれているフッ化物の濃度が異なる場合があります。
購入するときは、パッケージに記載されている濃度をご確認ください。
就寝前を含めて1日2回の歯磨きを続ける
フッ化物配合歯磨剤は、就寝前を含めて1日2回使用します。
歯磨き後は歯磨剤を軽くはき出し、うがいをする場合は少量の水で1回にすると、フッ化物がお口の中に残りやすくなります。
うがいが難しい小さなお子さんは、歯磨き後に残った歯磨剤をティッシュなどで軽く拭き取ってもよいでしょう。
参照:日本小児歯科学会|TOP≫学会からの提言≫フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について >
フッ素塗布と組み合わせたいむし歯予防
子どものむし歯予防では、歯科医院で受けるケアと家庭で行うケアを組み合わせることが大切です。
歯の生え方や磨きにくい場所も確認しながら、お子さんに必要な予防方法を選びます。
歯科医院のフッ素塗布と家庭の歯磨きを続ける

歯科医院では高濃度のフッ化物を一定の間隔で塗布し、ご家庭ではフッ化物配合歯磨剤を日々使用します。
利用する濃度と頻度が異なるため、両方を続けることでフッ化物が歯に触れる機会を保ちやすくなりますが、フッ化物には歯垢を取り除く働きがないため、歯ブラシで汚れを落とすケアも欠かせません。
奥歯の深い溝をシーラントで守る

奥歯の噛む面にある溝は細く、歯ブラシの毛先が入りにくいことがあります。
シーラントは、その溝を歯科用プラスチックなどでふさぎ、食べかすや歯垢が入り込むのを防ぐ処置で、材料にフッ化物が含まれる場合には再石灰化を助ける働きも期待できます。
シーラントには、4年以上で約60%のむし歯予防効果があったというデータもあります。
参照:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~|シーラント >
シーラントは、奥歯の溝の深さや歯の生え方、これまでのむし歯の状態などを確認して行います。
時間がたつと取れたり欠けたりすることがあるため、定期検診で状態を確認することも必要です。
仕上げ磨きとおやつのとり方にも気を配る

フッ素塗布やシーラントを取り入れるとともに、毎日の歯磨きと食生活にも気を配りましょう。
お子さんは細かな部分まで磨くことが難しいため、年齢に応じて保護者の方が仕上げ磨きを行います。
特に、「奥歯の溝」「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」は、歯垢が残りやすい部分です。

また、甘いお菓子や飲みものを長時間つづけて口にしたり、時間を決めずに何度もとったりすると、歯が酸にさらされる時間が長くなります。
おやつを一律に控えるのではなく、食べる時間や回数を決めることがむし歯予防につながります。
子どもの歯をむし歯から守るために

当院では、お子さんの歯の生え方やむし歯のリスクを確認し、フッ素塗布やシーラント、仕上げ磨きの方法などをご案内しています。
フッ素塗布を始める時期や歯磨剤の選び方で迷っている保護者の方は、受診の際にご相談ください。




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